離婚コラム
離婚したい
離婚約束(離婚契約)は有効か?
公開日:2017.08.23
「子供が成人したら離婚する。」とか、「平成●●年▲月■日に離婚届を提出することを約する。」といった約束をし、夫婦間で書面を取り交わすようなことがあるかと思います。
この、離婚約束(離婚契約又は離婚予約ともいわれます)ですが、家族法の本などでは、「当然に無効」と書かれています。
離婚するかしないかは当事者の身分に関するものであるため、実際に離婚届を出す時の当事者の意思が尊重されるべきである、ということです。
しかしながら、夫婦が将来の離婚を真剣に話し合い、将来離婚する際の条件も取り決めして、その旨の書面も取り交わしたのに、その「離婚合意書」が当然に無効となる、という結論は、大いに疑問です。
離婚約束も、当事者間においてこれを安易に破ってはいけないという限りでの拘束力を認め、これを破った当事者に対しては、債務不履行に基づく損害賠償請求をできるのではないでしょうか。
「離婚合意書」に基づき裁判所に対して、「離婚請求」することは当然認められないでしょうが、離婚約束を破った者に対する損害賠償請求であれば、認められる余地があると考えます。
新判例の可能性
明治時代、結婚約束(つまり、婚約)は、絶対的に無効と解釈されていました。
結婚約束に基づいて、裁判所が結婚意思を失った当事者に対して、結婚せよ、と命じることは、さすがに常識的にあり得ませんよね。
しかし、その後の判例法理によって、結婚約束を不当に破棄した者に対しては、債務不履行または不法行為に基づき、損害賠償請求することができるという判例が確立されていきました。
これと同様に、離婚約束についても、破ることは許されない、破った場合には債務不履行責任が生じるという考え方は、理論的ですので、新判例を獲得できるかもしれません。
さいごに
夫婦間で真剣に離婚約束をしたのに、
・配偶者から「離婚約束は無効だ」と主張されてしまっている方
・弁護士に相談しても「離婚約束は法的に無意味です。」などとアドバイスされてしまった方
当事務所は「離婚約束」についても真摯に検討し、その法的効力の有無や範囲について研究活動をしております。
また、実際に、「子供が卒業したら離婚する」という真摯な合意をしていた方のご依頼を受けて、全力で戦った経験もございます(なお、和解で終結したため、離婚約束の法的効力についての裁判官の判断は、得られませんでした)。
上記のようなニーズを抱えておられる方は、ぜひ、上記問題に真剣に取り組んでいる当事務所弁護士までご相談ください。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。
【本記事の監修】
弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋(代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。