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別居中の夫(妻)に生活費を請求できますか?

【 Q 】

別居中の夫(妻)に生活費を請求できますか?

【 A 】

様々な事情から,夫婦が別居せざるを得ない事態に陥ることがあります。
別居した場合,自らの収入のみでは生活に困窮することもあり得ます。今回は,別居した夫(妻)に対して生活費を請求できるのか,考えていきたいと思います。

次の事例を見てみましょう。

【事例①】

A子さんはB男さんと結婚し,一緒に暮らし始めました。
B男さんは,いわゆる個人事業主です。結婚した際,夫婦間の話し合いにより,A子さんは専業主婦となることにしました。結婚して5年後,B男さんが女性といわゆる不倫関係にあることが判明しました。A子さんがB男さんを問い詰めると,B男さんは不倫を認めました。
A子さんは,B男さんと離婚したいとは考えていませんが,B男が本当に反省しているのか信じられず,しばらくの間,別居したいと考えています。ただ,A子さんは専業主婦だったこともあり,別居後の生活には不安もあります。

A子さんは,別居後,B男さんに生活費を請求できるのでしょうか。

 

このような事例の場合,A子さんはB男さんに生活費を請求できると考えられます。

婚姻費用の分担義務

B男さんがA子さんの生活費を負担すべき根拠は何でしょうか。

民法上,夫婦は互いに扶助しなければならず(扶助義務 民法752条),その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生じる費用を分担するものとされています(婚姻費用分担義務 民法760条)。

扶助義務は,夫婦間の生活保持義務とされており,婚姻費用はそれに必要な費用と解されています。この婚姻費用には,夫婦の衣食住の費用,教養娯楽の費用が含まれるとされています。夫婦が別居している場合でも,基本的に,婚姻費用は分担されなければなりません。

今回の事例では,A子さんは,別居後も,B男さんに対して生活費を請求することができます。B男さんが任意に支払いをしない場合は,家庭裁判所に対し,婚姻費用分担についての調停を申し立てることができます。

負担すべき金額

では,A子さんは,B男さんに対し,婚姻費用としていくら請求することができるのでしょうか。

実務上,家庭裁判所は,いわゆる算定表と呼ばれるグラフを用いて,夫(妻)が負担すべき金額を判断しています。この算定表を用いれば,夫婦双方の実収入から,婚姻費用を算出することが可能です(ただし,個別の事情に基づき,その金額が修正されることもあります。)

今回の事例で言えば,A子さんが請求できる婚姻費用は,A子さんの収入及びB男さんの収入から判断されます。
B男さんは個人事業主として事業所得を得ていることから,収入は,基本的に確定申告書上の「課税される所得金額」に基づき判断されます。ただし,税法上の趣旨に基づき控除されているものの現実には支払われていない金額については,加算する必要があります。また,場合によっては,減価償却費等の経費が適正なのかも,問題になります。さらに,事業所得の変動が著しい場合など,前年の「課税される所得金額」を利用すべきでない場合もあります。

A子さんとしては,こうした様々な事情を踏まえ,生活費としていくら受け取るべきなのかを判断する必要があります。

まとめ

今回は,夫の不倫から別居に陥った事例について,妻の目線から考えました。次回は,今回と異なる事情から別居に陥った事例について,夫の目線から考えていきましょう。

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